【配偶者居住権の創設】~住み慣れた我が家で安心して暮らし続けるために~
2024年10月02日
民法改正により「配偶者居住権」が新設され、2020年4月1日からこの制度が施行されました。
《配偶者居住権とは・・・》
配偶者居住権とは、配偶者が亡くなった後も、残された配偶者がその所有していた建物に無償で住み続けることができる権利です。終身または一定期間の設定が可能です。この制度は、残された配偶者の居住権を保護し、生活の安定を図ることを目的としています。
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう:
* 被相続人は夫、相続人は妻と子1人
* 相続財産:自宅(2,000万円)と預金(2,000万円)の総額4,000万円
[改正前]
妻の法定相続分は相続財産4,000万円の半分にあたる2,000万円ですから、自宅(=2,000万)を相続すると、預金を相続することができず、預金の2,000万円はすべて子が相続することになります。
[改正後]
妻が配偶者居住権を取得した場合、この評価額を仮に1,000万円とすれば、さらに預金を1,000万円相続できるようになります。このとき、子は建物の所有権1,000万円と預金1,000万円を相続します。妻は住み慣れた自宅に住み続けながら、預金も相続できるようになるのです。これによって、妻の生活の安定が図られることになります。
《配偶者居住権の主なメリット》
1. 住み慣れた家に住み続けられる
2. 他の相続財産をより多く相続できる
3. 相続税の負担が軽減される可能性がある
配偶者居住権の創設により、残された配偶者の生活の安定が図られ、より柔軟な相続の選択肢が増えました。高齢化社会において、この制度は多くの人々の不安を解消し、安心して暮らし続けられる社会の実現に貢献すると期待されています。しかし一方で、配偶者居住権が設定された建物は所有者が自由に売却や賃貸することができなくなるなどといったデメリットもいくつかあるため、自身の状況に最適な選択をすることが重要です。