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税制改正で相続時精算課税がどう変わった?

2025年04月15日

 税制改正により令和6年1月から相続時精算課税制度が大きく改善されました。最大の変更点は、年間110万円の基礎控除が新設されたことです。これにより、贈与を受けた金額のうち年間110万円までは相続財産に加算されなくなります。
 例えば、相続時精算課税制度を選択して父が子に毎年500万円ずつ3年間で合計1,500万円を贈与する場合、改正前はその全額が相続財産に加算されました。しかし、改正後は年間110万円ずつ控除されるため、加算対象が1,170万円(1500万円-110万×3)に減少します。
 
メリット:改正で拡がる活用場面
1. 節税効果の向上
 年間110万円までの贈与が非課税かつ贈与税の申告不要となりました。これにより、少額の贈与を計画的に行いやすくなりました。
2. 不動産贈与との相性が向上
 収益物件を早期に贈与すれば、家賃収益分の資産を相続財産から除外できます。さらに贈与した不動産は「贈与時の価額」で相続税が計算されるため、将来的な値上がりリスクを回避することができます。
3. 長期の節税計画が可能に
 暦年課税では「相続前7年以内(改正前は3年以内)の贈与が相続財産として加算」されますが、相続時精算課税制度の年間110万円控除は期間制限なしです。例えば、10年間で1,100万円を贈与税も相続税も非課税で贈与可能となります。

 

注意点:制度選択前に確認すべきリスク
 制度を利用する際には以下の点に注意が必要です:
* 一度選択すると暦年課税には戻れない
 相続時精算課税制度を選択すると、同じ人からの贈与についてその後は暦年課税には戻れません。慎重な判断が求められます。
* 特例適用外になる場合もある
 相続時精算課税制度を利用して贈与した宅地については、小規模宅地等の特例(宅地評価額80%減)が適用できないなど、一部の相続税軽減措置が適用外になります。
* その他相続時精算課税制度の選択によって不利になることも
 贈与時は非課税であっても、相続時の相続税率次第では暦年課税よりも負担が増えてしまう場合や推定相続人でない孫への贈与の場合など、暦年課税の方が有利なケースもあります。

 

まとめ
 今回の改正で、相続時精算課税制度はより使いやすくなりました。ただし、注意点やリスクもあるように「万能」ではないため、自身の資産状況や将来設計を踏まえて慎重に計画することが重要です。